急に決まった出張先はアラブ首長国連邦。ドバイだ。空港に降りると独特の香りが漂い、日本ではめったに見ることのないアラブの人々が沢山いる。会社が手配してくれたホテルはとても豪華で、夜景が綺麗に見える高層階の部屋だった。途中、香港で乗り継ぎをしたので日本の自宅を出てからなんと22時間の移動となり、機中ではずっと仕事をしていたので、ホテルに着いたらすぐ寝てしまった。
翌日から、現地の仕事関係の人と落ち合って商談の予定だったが、出かける準備をしていると、ホテルに備え付けられている金庫の鍵の締め方がわからないことに気が付いた。そもそも私の知っているホテルの備え付け金庫は、お財布やカメラなどを入れたら精一杯になる、小さな金庫だ。しかしこのホテルにある金庫は、1人暮らしの人の部屋にある、冷蔵庫くらいの大きさが軽くある。鍵らしきパーツがあるのでこれが金庫だとわかるのだが、閉め方がわからない。金庫の横に使い方が書かれていると思われるステッカーが貼られているのだが、そこには英語ではなくアラビア文字が書かれている。結局金庫の閉め方がわからず、待ち合わせの時間が近づいてしまったので、持てるだけの貴重品は身に着けたまま、金庫が閉まっていないことがわからないようにスーツケースを金庫の目の前に置いて部屋を出た。
仕事が終わって部屋に戻っても、荷物や金庫はそのままだったのでほっとしたが、初めての国に来て、ホテルの治安や金庫の鍵の閉め方がわからないというのは、なかなかキツイことだと思った。やはり急な出張などではなく、ある程度訪れる国の事前情報を仕入れてから海外には行きたいものだ。
しかしこのホテルの金庫は、本当に大きくて驚いた。さすが、パトカーまでが高級車というアラブ首長国連邦。泊り客の中には、金の延棒を沢山しまう客もいるのかもしれない。